[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
いつだってボクの世界は
不鮮明で不透明な世界だった。
【天上の青。8】
・・・怒られるのカナ?
入っちゃいけない場所に入ったのは
確かに、いけないことなんだけど。。。
デモ、始めてきたばかりの場所だったんだし・・・
やっぱり、よくある話的に
村の掟で。。。とか!?
あぁ。。。
ちゃんとりんちゃんの話聞いておけばよかった!!!
コソッと自分を担ぐレイを見て。。。。
相変わらず無言のままでソレが余計に
マックスへの恐怖を駆り立てている・・・のだが?
・・・重くない、カナ?
昨日、張り切って食べ過ぎちゃったし。。。
な、なんかソッチの方が心配になってきた。
なんとなく要らない心配のほうに気が向いてしまい
あわわと先ほどからずっと百面相状態のマックスだったが
不意に見慣れた景色がそこに広がる・・・
大きく古いお屋敷。
『・・・あれ?ココって』
あたりを伺うようにしてみていると
彼らは着慣れたように離れの部屋へと入ってゆく
靴を脱ぎ、そのままの勝手知ったる我が家のようにある部屋へと向かう
「ただいま」
「戻ったよ★」
先に部屋に入ったタカオとミステルが声をあげる。
・・・この部屋には他にも誰かが居るらしい
コソッと振り返り覗くと、そこには同じ年頃の男の子が2人
革のソファーに優雅に座っていたのが見える
1人は「お帰りv」と手を振りかえした
鮮やかなオレンジ色の髪に穏やかそうな表情
・・・だけど、クセのある含み笑いを浮かべている
もう一人は、あから様にこちらには興味のなさそうだが
どこか不機嫌そうな赤い瞳。
そして・・・何かを待っている。。。
タカオとミステルはそれぞれ2人が座るソファーに座り
レイは開いている席にマックスを降ろした。
・・・どうやら、そこに座れ。と言う意味なんだと思う。。。
どこか神妙な空気が流れる中
誰も口を開こうとはしない
しかし、彼らの視線は不思議に自分に向けられているのは解かる
そして、彼らは何かを待っている。。。
すると。。。
先ほど入った入り口とは違うドアの前で
誰かの話し声が僅かに聞こえてくる
ドア一枚隔てた場所でも・・その会話は良く聞き取れない。
ドアが開けられて
同時に会話が聞こえる
・・・聞きなれた、声のままに
「ん、解かった。
なら・・・“ソレ”の処理は私がするわ」
そう言ってドアの向こうに居る誰かに話しかけて
入ってきたのは・・・
「りん、ちゃん?」
「え?・・・マックス?あら?なんで??」
ドアの向こうから姿を見せたのは、伯母である・・・輪廻。その人だった。
状況が解からない。
何はなんだか解からない。
「え?マックス?!」
「・・・ナオ!!
どうしテ、キミまで居るネ!!」
輪廻の声に驚いて部屋に顔を出したのは
・・・幼馴染でもある、直。
でも、今日は先生と用事が~ぁ???
合ったような?なかったような??あれれ??
まったく持って今の状況の
解からないマックスには頭がショート寸前。。。
「何で、アンタココに居るの!!」
「・・・ダッテ、迷子になってしまっテ///
それで、そのぉ。。。」
後は言いずらそうにしながらも
隣に立つレイをコソッと見上げる。。。
彼女はソレである程度の状況を理解すると
・・・呆れた様に深いため息を吐いた
「まぁまぁ、ナオ君?
君にはさっきの情報の処理を頼みたい」
「・・・はい」
まだ何か言いたそうにしながらも直は
仕方なくこの場を輪廻に預けるとその場を後にした。
その背を見送り届けると・・・彼女は再びこちらに向き直る
「さて、困ったな。。。]
苦笑いを浮かべながらも
この場に残ったメンバーの状況をうかがう
先ほどから必要以上に青くなったままのマックスを観てから
傍らに居る白連に眼を向けると・・・
彼女は微笑むように笑い返した。
ソレを僅かに頷き答えると
「しかし ばれてしまったからには
・・・これ以上隠す必要もないでしょ?」
そう言って開いているソファーへと腰を下ろし
ゆっくり顔の前で指を組む話を続けた
「時期はまだ早いんだが・・・ね?マックス。」
「・・・ハイ」
名を呼ばれ、恐る恐る顔を上げる輪廻を見る
綺麗な微笑み。。。
その彼女に瞳に自分だけが映される。
深い深い紫暗色の瞳
いろんな意味がその瞳には潜んでいる
子供のときから・・・そう思っていた。
聞かなくても“この人”は自分と似た
部類の人間だと言う事は解かっていた。
ダカラ、この人がこんな風に
微笑む時にはナニカが潜んでいる。
「アナタに“水原”の全てを譲ります。」
ただ、静かに響くその声が・・・遠くに聞こえた、気がした。
【next】
前の日記で連載していたお話です。
コレの前のお話はこちらになりますので宜しければどーぞ。
:あらすじ:
人里離れた小さな村。
深く森に抱かれ都会から切り離された村
母親の勧めでこの村で地主をしている伯母の所に預けられるマックス。
不可思議と不鮮明な世界へと
巻き込まれてゆく・・・パラレルストーリーです。。。
***
時間が止まる。
ボクの周りの世界の時間が止まり
ボクの息が止まって
その時
きっと
死んでしまったんだ。。。
【天上の青。7】
きつく瞑った瞳を開けて、最初に映ったのは
綺麗な花畑でもなく
大きな川岸でもなく
・・・知らない誰かの、背中だった。
恐る恐る顔を上げてみると
長い黒髪が風に揺れるのが僅かに映る
あの、大きな石斧を片手で掴み、防いでいる?
ゴクン。息を飲むと
・・・この体がまだ生きているコトを理解した。
ボクは“まだ”死んでいない。。。
だけど、先ほどの現状は何も変わっていない
あの謎の怪物とボクの前に“彼”が居る事以外は何も、変わっていない。
「うっひ~ゃ・・・でっけぇ!!!」
「コレは、今月初の大物だね?」
深い霧の中からやけに明るい声が石段の上の方から聞こえてくる
マックスは思わず顔を上げると・・・
そこには見覚えのある2人の姿がある。
「あ。。。」
「ん?あれ??
何で一般人が居るんだ?」
「ココ立ち入り禁止なんだけどなぁ?」
迷子かな?と言って2人が石段からゆっくり降りてくる、と
カコン。とい石段が何か固いものにあたる音が響く
霧が緩やかになったその時、2人が手にしている物が何かわかる。。。
ソレは、昔から人を殺める為に武器。。。
まだ赤い、血が滴り落ち
石段を点々と赤く染めてゆく
ソレを平然と笑いながら自らの肩に乗せて
僅かに距離を置きながらコトの様子を伺っている
「・・・オイ。」
「へ?」
顔を戻して“彼”を見上げると
真っ直ぐにその独特な雰囲気を持つ
月色の瞳がこちらに向けられていた。。。
「動けるか?」
「・・・あ、ソレが。。。
大変申し上げにくい事に・・・腰が、抜けテ///」
逃げられるコトなら・・・思考回路的に
今すぐに立ち上がって逃げ出したいのですよ。。。
情けないやら、申し訳ないやら。。。
しかし、どうにもならないやらで、途方にくれると
突然“彼”は声を張り上げる
「タカオ、ミステル」
ゆっくりと後ろを振り返り、その眼に2人を映すと
怪物の石斧をミシリ。と音を立ててヒビが無数に走る
慌てる、怪物を他所に彼は力の勢いで石斧を垂直に蹴り上げると
急激な重力の変化が加わり、怪物が重心を崩しかける
「あと、頼む。」
ごく短い単語。
ソレを呟くと・・・マックスは自分の体が浮き上がる変な感じに襲われる
きっとそれは同じタイミングだったのだろう
「「了解」」
2つの声が素早く、横を駆け抜ける。。。
深い霧が視界を隠す
重い音と不気味な声が霧の中から響いてくる
2人の姿は見えない。
『不安』だが、先ほどの恐怖はなかった
でも、怖くて顔を上げられなかった
「・・・どうして」
「え?」
思わず、顔を上げると・・・
こんなに近い距離だとは思わなかった
夜の闇に染められた様に深い色
その合間から覗く、繊細な月の色
妖しいくらいに綺麗な人。。。
「どうして、ココに来たりした?」
「・・・ぁ。ごめんなさい///
ココに来たの初めてで・・・道に、まだ慣れなくテ。。。」
「“初めて”?」
「・・・?」
一瞬、彼の眼が色を変えた。
何かを告げようと音より先に唇が動く・・・しかし。
「“レイ”・・・こっち、終わったぞ?」
「ねぇ?今日はコレくらいで『払い』いいんじゃない?」
深い闇の中から先ほどの2人の響く
「無事だった。」と安心するのと同時になんだか・・・
先ほどよりも元気な気がする。。。ソレは・・・気のせい??
すると“レイ”と呼ばれた彼は2人に気がつき
そっとマックスを石段の上に降ろすと
2人にゆっくり笑いかけて「そうだな。」と頷いて見せた。
「お?霧も晴れてきたな?」
「わ~ぁい、帰ろう☆帰ろう☆」
確かに2人が言うとおり先ほどまで立ち込められていた
深い霧が足元から嘘のように薄くなってゆく。。。
2人がさくさく降りてゆくのに続こうと足を一歩前に踏み出すと
・・・はしっと腕を掴まれる。
あれ?っと思いながら・・・振り返ると
“レイ”は先ほど2人に見せていた表情とは
違う眼で、自分を見ていた。
腕を掴まれて、身動きが出来ないながらも身じろぐと・・・。
「・・・お前には帰られたら、困る。」
「え!!」
声を上げた、次の瞬間。。。
「ちょっと、来い」
「・・・ちょ、チョット!!!」
そう言って・・・まるで荷物を抱えるように
マックスを肩に担ぐとすたすたと歩き出した
「・・・何?」
「さぁ?」
マックスの声に何事かと思い振り返って
立ち止まっていた2人をサクサクと追い越してゆく
2人は顔を見合わせて肩を竦めながら・・・とりあえず、後に続いた。
【next】
その手の質量しか得られる事はできない。
余分な分は、得るコトなど出来ない。
僅かに気を緩めば
その手の隙間から
零れ落ちて
何も残らなくなる。
何一つ潤す事など出来ずに
まるで、ソレは人間の関係のようにも似て
僅かに・・・煩わしい。。。
けど。
残った水滴に
そっと唇を寄せて、思う
「物好きだよな?」
「・・・お互い様ネ」
そんな自分にも
何かが残るのかもしれない
誰かが残るのかもしれない
そんなことに気がつけば
・・・悪くは無いのかもれない。と、気がついた。
【end】
あれから、ずっと気になっていた。
・・・何度も部屋の前を訪れて
ダカラと言ってチャイムを鳴らす訳でもなく
火葬場の近くの花を摘んできては
新聞受けの中に入れてゆく
今日も
変わらず
意味のない行動の繰り返し
【死神とレクイエム2】
と思っていた、ら
いきなり、玄関のドアが動き
「あれ?」っと思った次の瞬間に
勢い良く額にぶつかった。。。
「・・・ちゃぁぁぁ/////」
「・・・あ?何だ、お前か?」
座り込み鈍く痛む額を押さえながら
涙目になりながら、ゆっくり顔を上げると
火葬場にいた人形とは少し雰囲気の違う彼がいた。
彼は新聞受けを見ると
そこに落ちている花を目にして
ゆっくりかがみながらソレを拾うと
「・・・最近、新聞受けに入ってる花はお前だったのか。」
くるりと指先で花を揺らして見せては
その視線だけは・・・ボクを観ていた
「どっかの変態か、嫌がらせかと思ってたぞ?」
「朝一番に綺麗な花摘んでできたダケだもん。。。」
「じゃぁ。なにか?
コレはアフターサービスかなにかか?」
「??」
「ん?葬儀社のなんかの目論見じゃないのか?」
「葬儀屋さんとボクは関係ないネ」
未だ額は痛むのだが、ボクは額を押さえたまま
立ち上がりハタハタとスカートを払いその場から
足早に立ち去ろうと試みたが
「・・・コラ、どこ行く?」
先に腕を掴まれた。
「ドコって、帰るネ」
「・・・その前に入れよ」
「・・・どうし、テ?」
「デコ冷やしていけよ
・・・ワザとじゃないけど、ワザとじゃ。」
“ワザと”を強調しているけど
絶対彼は確信的にそのつもりだった。じゃなきゃ・・・
こんなに痛くない。。。もん。
***
「ソファー座っててくれ。」
通された、広いリビング。
厚めのカーテンが太陽の光りを遮断していて
部屋は昼間なのに少し薄暗い気がした
淡い白で統一された落ちついた部屋
男の人のワリには・・・結構小奇麗なのだろうか?
「ホラ。」
「・・・あ、thanks。」
渡されたのは、ビニールに入った氷水と濡れたタオル
冷やせ。と言う意味なんだろう。。。
徐にヒトッとぶつかった所に乗せると
ひんやりとしていて気持ちいい。。。
「なぁ、暖かいのでいいか?」
呼ばれて、はたっと目を開けると
キッチンで何かしようとしている彼の姿が目に入った
「え?・・・あ、お構いなく。。。」
「と言われてもな・・・もう、お湯沸かしたしなぁ」
「困ったな」と、言いながらも・・・・
何か言いたげにこちらを見ているの。。。
この人は、毎回視線だけで答えを要求してくる
なんだか、悪質だ!!
「な・・・なんでもいいデス////」
「ん。」
言われたとおり手じかに合った物を手に取り
こちらに背を向けて、手馴れたように何かを作ってくれる
「そう言えば、名前。
聞いてなかったよな?」
「あ。うん
・・・言ってないし、聞いてないネ」
「ん?俺の名前知らないのか?葬儀屋なのに??」
「・・・ダカラ、ボクは葬儀屋さんじゃないネ」
「はいはい。俺はレイ。・・・お前は?」
死神はほとんどが単体で動く。
時折、同じ管轄の仲間との交流はあるが
ほとんど・・・お互いに名前を覚えるような事はない。
ダカラ、自分の名前を教えるなんて
・・・変な感じがする。
「ボク?・・・ボクはマックス。」
「へ~ぇ・・・変わってるな。。。」
「っな!!失礼な!!!」
コレでも、、気に入ってるのに!!!
「あ、悪い悪い・・・貶したわけじゃなくて
そんな変わった名前なら忘れないな。って思ったんだよ」
「・・・忘れる、ッテ?」
「たくさん同じような名前があるの、忘れるだろ?
・・・呼ばなくなったり、会わなくなったりすればさ。。。その分。忘れる。」
あぁ、広い背中だな。
そんなコトを密かに思いながら
暫く見つめていた。。。
火葬場ではあんなに小さく見えた背中
まるで・・・違う誰かのようにさえ感じる
ケド。
解かる。
・・・彼は、あの時の彼。
暖かそうな湯気を立てるコップを2つと茶菓子?らしきものを
器用に持ちこちらに歩み寄り、コップを1つくれる
マックスは額からタオルと袋を膝に置くとソレを受け取った
お互いが対面するように座り
これと言って何かを話をしたりわけでもない。
この小さな静寂がどこか、居心地が良くて
不思議な感じがしていた。。。
「ねぇ?」
「ん?」
問いかけるように呼びかけると
レイの不思議な色の瞳がボクに向いた
「泣けタ?」
「や、まだ。」
「そっか。」
「慣れっ子だから、な」
「慣れっ子?って??」
「俺、葬式とか慣れてるんだ」
はふぅ。っと息を吐きながら
ソファーの背に深くも凭れ掛かりながら
なおも彼は言葉を続けた。。。
「俺の近場の人間ってどうにも・・・きっと、呪われてるのかな?」
「はは、何に?」
何の冗談かと思い
ボクは笑いながらとかけると
すると・・・少しだけ、彼の空気が変わる
「死神。」
にこりと綺麗に微笑む彼の笑みに
ボクの息が止まったのは言うまでもない。
【next】
表情を変えない顔。
瞬きもしなければ
身動きも取らない
もしかして、人形?
そう思わせるほどの・・・
整った顔出し
綺麗な艶めく黒髪
目の色も他の人とは・・・違う。
誰とも異なる異質の存在。
ボクが言うのも可笑しいけれど。。。
この火葬場で
涙を見せなかったのは
・・・アナタだけでした。
【死神とレクイエム】
静まり返った火葬場。
並べられた椅子の最前席に
アナタはぽつりと座っていました。
「・・・あのぉ。」
ポンと彼の肩に手を置くと、彼はゆっくりとした動きで
ボクを見上げて「何?」とその瞳だけで語ってみせた。
深い
深い
闇の中の
孤立した、月のような
「葬儀、全部終わりましタ。。。よ?」
すると彼は2,3度瞬きをしてあたりを見回し
・・・その場に誰の居ない事に漸く気がついたらしく
「あ。本当だ。。。」
そう、答えながらも
・・・彼が立つコトはなかった
「もう、片付けます?」
「えっと・・・まだ、平気だと思いマス
ここの人達。いつも暇してるんで。。。」
ダカラ。と答えると彼は
「そう、ですか。」相変わらず短い返事を返す
・・・ボクは彼の隣に座った。
何音も響かない部屋はどこか肌寒くて
この人は寒くないのだろうか?と思いソッと顔を盗み見る
相変わらず綺麗な顔は・・・表情を変えることなく
もう誰も居ない筈の火葬場を見つめていた。
「・・・泣かないノ?」
声に、出ていた。
勿論・・・彼にも届いていたらしく
不思議そうな視線が逆に帰ってきた
ダカラ、ボクはもう一度彼に問いかけた
「泣かないノ?」
「俺は・・・泣かないよ」
「どうしテ?」
「さぁ?」
ゆっくり笑みを見せて
静かに響く彼の声
ソレなのに・・・感情が見えない。
どこか冷たい
どこか意味がない
どこか・・・
「なら・・・どうしたら、泣けるかな?」
深い闇の月が問いかけてくる
ボクは答える
「人は、悲しければ泣ける筈デス。」
すると
彼は少し俯き
その髪で表情を隠し
「じゃぁ、俺は・・・人間じゃないのかも、知れない。」
そして、ボクは
アナタに興味を持った。
【next】