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小さい手のひら。だった
自分よりホンの僅かに小さい手のひら
ギュッとしがみついて
暖かくて
デモ
冷たいくて
不思議な色の瞳が
ジッとボクだけを映していた。
あの時、本当は『妹』が欲しかった。
新しい家族になる子は『妹』のはずだった。
ソレなのに・・・ボクはあの子の手を握り返した。
【小さな手のひら。】
朝。。。
両親は共働きで
朝は早く夜は遅く、帰ってこないことのほうが多いため
あまり多くの時間両親が一緒に家に居るコトはない
ダカラ、家族の団欒はほぼ無いに等しい。
たとえ・・・あったとしても
ソレは戦争。
「ねぇ?太郎さん昨日作った資料どこにあったかしら?」
「ん?昨日読ませてもらった時はココににあったけど・・・その後かい?」
「えぇ・・・その後
私ドコに持っていったのかしら?」
朝から今日の会議の使うはずの大事な資料を探す両親。
ボクは現在の時間を確認して持っていたフライパンから
甘めに焼いた卵焼きを落すとお皿を片手に
「ホラ、パパ。ママ。
もうご飯食べないと間に合わないネ」
「ま~ぁもうそんな時間?」
「・・・コレはヤバイな
バックアップは取ってあるのかい?」
「・・・ソレが、バックアップのデータと一緒にしてあるの」
リビングにテーブルに人数分の
朝食を置き終わると
ボクはエプロンを外して
・・・ココで漸く、物足りなさを感じた。
もう一度、時計を見て・・・
こっちも準備しないと学校に遅刻する時間
ソレなのに・・・まだ、寝てるらしいもう一人の家族。
まったく。。。っと思いながら
起しに行こうとくるりと振り返ると
・・・ぼふっと何かがぶつかる。
アレ?さっきまで壁なんて無かったのに・・・。
徐に顔を上げてみると
ボクの頭より1つ高いところに顔がある
その顔はニコッと笑みを浮かべ
・・・持っていたものを母に見せるように向けて
「ね?母さん、さっきから探してるのコレじゃない??」
「まぁ、それそれドコに合ったの?」
「母さんの書斎。
昨日、夜に見てなかったっけ?」
「あ。そう言えば。。。太郎さんに見てもらった後に自分でも確認したんだったわ」
あらやだ。とコロコロ笑う母。
じゃぁ、早く準備しよう。と急かす父。
2人は自分達の予定時間を確認すると一時リビングを後にするのだった。
・・・コレでどうにかなるのかな?と思っていると・・・
ぽふぽふと頭に触れてくる・・・いや、撫でてくる
何かに・・・朝からかなりイラっと来る。
「・・・デ、レイ。キミは何してるネ?」
「や、撫で心地が良くて。。。つい?」
年上の大人振りを見せるためにココはまだ・・・抑えテ。っと
自分に言い聞かせて、問いかけたのだが
ケラケラと朝から楽しそうに笑い声がムッとなり
勢いよく振り返り・・・声を荒げた
ボクは犬猫じゃないんだゾ!!!
「ソレが年上にする態度ネ!!!
ボクは・・・キミの“お姉ちゃん”なんだから!!」
「・・・。」
言い切ってチョット満足げにえばってみた。。。
すると、レイは暫し考える仕草を見せてから
「はいはい、俺より“小さくて”“可愛い”おねぇさまv」
まるで、小馬鹿するように耳元で
「小さい」を一番強調させて・・・
人の頭をポンポンと叩き、横をすり抜けてゆく
ブチ。
「レ~~~イ!!!!」
・・・本当は『妹』が欲しかった。
デモ。
ボクがあの時、手を握ったあの子は
今・・・ボクの『 弟 』としてココに居る。
【end?】