【機械仕掛けの人形達のゆめ。4】

パラレルです。
前回の続きです。

設定的にはおって説明していきたいのですが・・・
若干皆さん雰囲気が陰湿になっておりますので

「コレが初音ミクなんだ」とか言う発想はなさらないでね？

ブラック★ロック　シューター思考の設定になっておりますので
そこらへんは肝に命じてください。。。

 

ある科学者は機械仕掛けの人形に
“心”を授けるコトに成功を果たしました。

“心”を持って生まれた人形達は
一体それぞれ・・・どんな夢をみているのでしょうか？




【機械仕掛けの人形達のゆめ。4】





“歌う”ことが楽しかったのを・・・まだ、憶えている。

誰かを殺める術を学んでも
それでもボロボロな楽譜の方が大事で

あの頃は“歌う”ことが・・・楽しかった。


でも。
私は、その楽譜すら

手放した。
自らの意思で

捨てたんだ。

不必要と認識した、から。。。

だから。

だから？








この子の真っ直ぐなまでの『ココロ』が
私は・・・妬ましい。そう、感じた




すると。。。
微かに声が響く。

ソレは、とても弱弱しい声
いや、音色。と言った方が正しい



「・・・りん？」



彼に呼ばれると彼女はゆっくり、その視線を向ける。

その弱い音色は・・・彼女のものだった
歌う事がままならないため
彼女はその音色を僅かに紡ぐ

弱く
柔らかい


鈴のような、音色。



「・・ぃ・で？」
「？」

「ぇん。。。」
「ん？なに？」

ソッと抱きなおしながら
彼は、極力声を和らげる・・・

ミクと話声色より数段甘く、柔らかい。
一体何処からそんな声が出せるのだろう？

もう、彼女の事しか目に入らない・・・
何処まで彼は彼女が大事なのだろう？

どうして・・・そこまで？













「私、うたいたい。」



















その言葉にビクッと肩が跳ねる。
自分でもソレに、気が付けるほど…私の心臓は跳ね上がったの。

ごくりと息を飲みながら、私は“リン”に目を向ける



「モット、レンと・・・ね？う・たぅの
　・・・データが、いっぱい・・在った・よね？」



あれ、全部だよ？と力なく笑うはずなのに
・・・何故だろう？不思議と僅かに胸を擽る余韻


「まだ、在るよね？
　観てない・・・場所、も」
「うん。。。あるよ。たくさん、ある。」


「俺達の知らないところが…」そう、言葉を続けるが
最後の方は涙声が混じり
通常のミクですら聞き取りは困難だった



「なきむし。」
「・・・るさい///」



彼はぐいっと袖で目を擦りながら
笑い返してみせる

その穏やか過ぎる空気が





「ダカラ。。。ね？」





豹変を迎える。

リンの肌の痣が不快な音を果てて
急速に広がりを早める。






「そんな、こと
　・・・言わ・なぃ、で。。。」





***


記憶の上に記憶を重ねる


「優しい音だね？」
「ふふ、私もこの曲好きなの」

「違うよ」
「ん？」




「優しいのは、君だから」


その上に立つ記憶は
本当に、必要なのでしょうか？

記憶の上書きは、過去の自分を殺すと言う事なのに。。。


***


「・・・・っ、リン！！！オイ、リン！！！！」

この苦しみ方は尋常ではない。
“感染ウイルス”なら普通、痛覚感情から先に破壊される。
手っ取り早く、使い物にならなくする為にはソレが一番の方法。
なのに彼女の場合、今だ痛みは残っているモノ。。。

他の器官が先に腐食され始めている・・・



一番厄介な。。。



「リン！！ヤダ、嫌だ！！！
　っ・・・約束しただろう！！一緒に行くんだろう！！！！」





　　　彼女は、うたいたい。と言っていた
　　　昔の私が願っていたような夢。

　　　しかし・・・

　　　ソレを手放しことでしか
　　　歩んでは行けなかった、屍の道。

　　　もう・・・あの頃のように、歌う事は出来ない。
　　　もう・・・あの頃のような気持ちはないのだから。









「・・・嫌だよぉ
　独りに・・・しないで、りん。。。」











部屋に響くレンの声を聞きながら
私はすぐに床に転がっていた通信機を手にした。


【next】
ハイハイハイ！！！
テンションがあがらねぇ！！！！（笑）
シリアスでも笑は取り入れたい人間ですから！！！愛でて愛でて！！