【鉢合わせの示し合わせ3/からくり】

ミクオ登場編その3。

長いねーｗｗ
あと、もう１話くらいかなー？？

***

俺の虫の居所は異常に悪かった。

れんの事が一番の原因だ
原因以上にその俺の横で…




「なに食べる？」
「卵焼きたべたい」

「人の隣で弁当ひろげてんじゃねぇよ!!」




　　　どこのリア充だ…お前ら

・・・あの後吐くだけの罵倒を吐きつくした後
時間も時間なのでということで弁当タイムを余儀なくされた


　　　もう、ほんとに意味が解らない。。。


なぜこいつらは真昼間に仲良く並んで弁当を食べあったるんだ？
むしろ、お前そう言うキャラじゃ無かっただろう？
・・・子供の時から人とのなれ合い自体拒絶して生きてきたのに・・・


　　　何なんだよ本当に？


頭が全くまったく纏まらない。
これは夢か？ただの幻覚か？
訳がわからず頭を抱えてうずくまると


「…はい」


その声に顔をあげた。
取り皿にのせられたおにぎり、卵焼きやらのおかずが
乗っている手の先を見ればあの女がれんの横から
睨み付けてはソレを差し出しているのが見えた。
女なの事を見てもう一度皿をみる
毒が盛られている可能性だってある。
今すぐに叩き落としてやりたい衝動に駆られた…が
不意にみた隣にいるれんは…
まるで頬袋いっぱいに食べ物を溜め込んだ
ハムスターのようになっているのをみて一切の思考が吹き飛んだ。



　　　ああ…もういい
　　　疲れた。



俺の視線に気づいた女が声をあげる


「だーかーら!!何でそんなにいっぱい
　口に詰めこむの！！味解んなくなるでしょ」


女が声を荒げててれんの頭を押さえるが
ふるふると首を振りながら大きく頬を
膨らませている状態でゆっくり噛み締めている。

よく溢れ出さないものだと関心すら覚える…が
口いっぱいに詰め込んでるのは今に始まった事ではないらしい。
作りてとしては確かにきちんと味わってほしいのだろう

しかし、これじゃ…
味わうと言うより奪われないように必死な様に…


「もう誰もあんたの分取らないって言ってるでしょ？」


そう言って弁当と同じく持ってきていた水筒を取り出していた。
慣れた手つきでカップに飲み物を注いではれんに手渡す。
いつの間にか口の中の物を消化したのかすでに元の状態に戻っている

「ありがとう。」そう言って
差し出されたカップを受け取り静かに飲み干す。


それは、まるでどこかの家族の当たり前の一コマの様に感じた。




　　　おかしな話だ。
　　　狂っている話だ。

　　　でも、目の前では起きている



先ほど差し出された皿を
いつの間にか受け取っている自分もいる
さっきの流れで思わず受け取ってしまったのだろう。。。

徐に口に運べば、懐かしい味がする。

そう言っても、もの心つく前に
親に捨てられた自分が家庭の味を知っているわけもないのだが…
たぶん、こんな感じなんだと思う。


懐かしい、暖かさ。


人としての団らんから離れている分
余計に居心地がよくなる。
繋いでしまった手を離せなくなる。
手放したくない…そう、思ってしまう。



なんて、悪循環なんだろう



箸を置き、目を向ける。
回りくどく言っても埒はあかない


「お前らの馴れ初めを聞く気はないけど…どうしてこうなった？」


取り皿を戻しながら問いかける。
二人は一度自分達の動きを止め、お互いに顔を見合わせる。
少しだけ沈黙があったが


れんは女に、「話ても、いいか？」
そう、躊躇いを声に乗せていた


それを聞いて…女は俺を確認してもう一度れんを見てゆっくりと頷いた。


【next】