【それは昼下がりの図書室で】

*学ぱらからくり。

嫌悪感を抱く方はお逃げください。（ぺこ）

***

読みたい本がなかった。
検索をかけてもらうと別館図書室にあるらしく、足を向けた。

別館、つまりは隣の学校。一部の通路が繋がっているが…
こちらのテリトリーではない。
喧嘩を売りに行くわけではないが…
いるだけで違和感の様な目を向けられるだろう。
図書館にいけばいいのかもしれないのだが
休みはしばらくないのでゆく機会がない。
しかし、どうしてもこの話の続きが気になるため足を向けた。



誰もいないと思って開けた教室には
意外な人物がいて一時停止してしまった
向こうも向こうで驚いたように固まっている。

叫ばれる前にドアを締める。
直後に、教室いっぱいにその声が響く


「な、何しに来たのよ！」


向こうが驚くのも無理はないんだが…

「本を、借りにきた。」
「…あ、っそ////」

図書室来る以上当たり前と思われたらしく
それ以上の言葉もなく大人しくされた。

探している本が有るであろうと
思われる本棚に向かい本を探して見るものの…
視線は伺うように他所へ行く
なにやら本をひろげては書き写しているようで
ずいぶん、熱心だな。。。と思いながら一つ本をてにして歩き出す。

誰もいない図書室。

座る場所はいくらでもあったが…
わざと向かい合う席に本をおく。
様子を伺うように視線を向けられたが…すぐに戻される。

黙ってその席に座り本を開く。
沈黙の数分間。
変に穏やかな空気のなかにいる、昼下がりの図書室。
食事も終わった後で軽く微睡みさえ感じる

そんななかで…


「……本、好きなの？」


人なんていない教室でこそりと声を潜め話でもするかの様に聞こえた。

「暇潰し、だったが…なにもしないよりかは、好きだな。」
「…へぇ、そう？寝てるイメージしかない」

「…そっちの方が少ない。」
「……そうなの？なんか意外かもｗｗ」

あざ笑う。というよりも内緒話が楽しくなってきたような感じで
その声は明るくて軽快に聞こえる

「…お前は、課題か？随分真剣に？」

そっと机を覗き込む。
しかし、机に広がっているのは…雑誌。
主婦向けの…

なんで学校にこんな物が有るのか解らないが
先程から書き写していたのは…
今日の献立。や安くて美味しい。など記載されている料理関係のページばかり



「毎日献立考えるの大変なの…仕方ないでしょ。」



俺は寮生だから食事は毎日用意されている。
自分で食事の支度をしたこともないくらいだ…
だから、毎日兄弟の分の料理を作る大変さを俺は知らない。
ノートには作り方。材料の量や料理のワンポイントなど女の子らしいかわいい文字で書いてある。
こんな字書くんだな…なんて思ってみると知らないりんをまた一つ知れたみたいでなんか、少し嬉しくなる。

っと…不意に見た雑誌の中の一つが気になり、声にしていた。



「これ、美味しそう。」

不意に漏らした言葉に興味を持ったらしく「どれ？」っと目を向けられる。
指差してそれを答える。
暫く雑誌の料理を見つめてはちろりとこちらを見るから
ん？っと首をかしげると…



「……明日、暇？」
「ん？今日みたいなら、な？」


あっそ。と呟きそのまま辺りを片付け始め席をたつ。
備え付けの時計を見ればそろそろ昼休みが終わってしまう時間だ…
早く戻らないと、っと自分も同じように席をたつ


「じゃあ…明日、ね」


去り際に呟かれた一言に本を持ちながら、ん？もう一度首を傾げる。



「え？…り、っ」
「明日来なかったら…承知しないからー」



それは振り返るとの同じタイミングだった。

微かに聞こえた声が、優しくて…まるで笑っているようで…
しまるドアの音を聴きながら…
立ち尽くす…。



「また、明日…来てもいいのかな？」



授業開始の合図をチャイムが聞こえても
ぐるぐる回る思考の狭間できっと、授業には間に合わないだろう。。。
なんて思ってる自分の顔はきっと赤くて人に晒せないだろう。。。

【end】