【グラタン食べたい。】

遅咲き花。の2人のお話。。。
珍しくほのぼのｖ（笑）
 

***

その日兄が「グラタン食べたい」と言っていた。




だから、今日は急いで家に帰って
洗濯物を取り込んでから
ホワイトソースを作るのに時間を費やしていた。
・・・コレを作るのはまだ苦手で、時間がかかるから

いつもの夕飯の時間には間に合うように
急いでみたが・・・兄はいつもの時間に帰ってこなかった。
時計としばしにらめっこをしていたが
・・・お腹も空いて来てうなだれるままに
私は一人、夕飯を食べ始めた。


食べ終わり、兄の分を冷蔵庫に入れ
後片付けをして部屋へ戻ろうとすると・・・


兄が帰ってきた。


「お、おかえりなさい」
「あぁ、ただいま」

「今日・・・遅かったんだね？」
「？・・・maliみてないのか？」

「え？」
「今日グループ課題で
　帰り遅くなるってmaliしたぞ？」

サァァッと血の引く音が聞こえた気がする。。。

考えてみたらホワイトソース作るのに必死で携帯みてなかった。。。
私が気づいていなかったことを悟ると・・・
兄は呆れたようにため息をつきいた


「ご、ごめんなさい。。。」
「別にいいけど。」


そう返されたけど、兄はどこか不機嫌そうで・・・私は小さくなる。
兄が私の横を通るときにビニールの音が聞こえた
不意に目を向けるとソレがコンビニの袋で
慌ててその後ろを追いかけると
すでに台所でコンビニで買ったグラタンを
電子レンジで暖めて、一緒に買ったであろうな菓子パンを食べていた。

折角作ったグラタンが食べてもらえないのは
とても残念だったが・・・自分がmaliに気づかないで居たので
こそこそと部屋へと戻っていった。。。


大丈夫。。。
帰ってきたお母さんが食べてくれる。
誰も食べてなければ自分が明日食べればいい。。。

そう思って、明日は休みだったけど
少し早めにベットに入った。




***




朝起きると兄の分のお皿は流し台の所で水に浸されていた。
お母さんが夜食に食べてくれたんだと
少しホッとしながら朝ごはんの準備をする前に
片付けてしまおうとしていると・・・

「ただいま～ぁ」

お母さんが夜勤から帰ってきた。

「お帰りなさい。」
「うん、ただいまりんちゃん」

そう言ってリビングへ入ってきた
「これから朝ごはん？」と聞かれ
「うん、準備しようとしてたの」そう答えた

「あら？昨日グラタンだったの？」
「？うんそーだよ？？」

流し台に置かれているお皿を見て聞いてきた。。。
私が首をかしげながら答えると・・・

「あ～食べたかったな～～ぁ」
「あれ？お母さん食べたんじゃないの？」

思わず2人で顔を見合わせる。。。
話によれば昨日の夜は忙しくて
こっちへ帰ってくる暇が無かったらしい
泥棒がグラタンだけ食べて帰るのは可笑しい話。。。

そうこうしているうちに兄も起きてきた。。。


「・・・はよう。。。とおかえり」
「お兄ちゃん！お、おはよう」
「あ。おはよう。とただいま」

2人並ぶ私達を不思議そうに見つめながら
首をかしげながら、冷蔵庫から飲み物を取り出す

なんだか少し、顔色が悪い気がする。。。？


「ねぇ、レン」
「・・・ん？なに？」

「あんた、朝ごはんいる？」
「・・・無理。まだ消化されてない。。。」


「けふ。」と口を押さえながら、いらない。と言って
手を振り、飲み物だけ取ったまま部屋へと戻ってゆく・・・



よく解らず首をかしげると
お母さんは言った


「あの子、小食なのよね。。。」
「？」

「後で、胃薬持って行ってくれる？」
「？？」


昨日、お兄ちゃん胃もたれするくらい
なに食べたんだろう？？

【end】