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「はい、出来た」
「わぁ~お揃いだ」
自分で結べる様になった髪型を
同じように鈴にもしてやると
手持ちの鏡を見ながら鈴が笑う。
それをみて俺が笑っている所に、母さんがきた
鈴を探していたのか?
俺の部屋で遊んでいた鈴を見つけて
母の顔がほころぶように笑みになった。
「あら~お兄ちゃんにしてもらったの?」
「うん////」
えへへっと自慢げに笑うから
なんか照れくさいけど嬉しくなって一緒に笑った
「今度はりんがおにぃちゃんの髪してあげるねぇ?」
そう言ってりんがベットに置いたクシを手に取る
「あら、良いわね~」
髪を撫でる鈴の指がくすぐったい。
でも、気持ちよくて目を閉じた
いつまでも
こんな時が続くと思った
【NG4】
それが脆く崩れ始めたのは鈴が中学に上がった頃。
著しく成長する鈴の隣にいる時間が急速に減り始めた頃。
そんな時…母親が倒れた。
元から体の弱い人だったから
俺は、その知らせを聞いたときに
「あぁ、ついにか…」そう思った。
母も薄々気づいていたんだ。
でも、鈴は知らない。
だから…毎日のように見舞いに通った。
母が良くなると本気で信じて
来る日も来る日も、病院へと通った。
家の事も母の代わりを勤めると
全部を一人でやり始めた
「鈴。いい加減しろ」
母親の病室で声をあげると母に髪を
梳かしてもらっていた鈴は小さく身を竦めた
「あらあらどうしたの?」
「鈴、今日倒れたんだって」
俺は、鈴が動けないことをいいことに
イラつきながらベットの傍にあった椅子に座る。
「…大丈夫なの?」
「あ。うん!!ぜんぜん…」
「嘘付け。。。」
鈴の言葉を蹴散らすように、吐き捨てる。
唇をかみ締めて言葉をかみ殺す
鈴は一度俺を睨むが
そんな視線痛くもかゆくもない。
「鈴ちゃん…?」
「……もう、ほんとに平気だもん。」
後ろから母に聞かれ鈴はすぐに
いつもの顔に戻り母と話を始めた。
いつものように面会時間ギリギリまで話していたが
その間、鈴は一度も俺と目をあわすこともしなかった。
***
「酷いよ、お兄ちゃん」
見舞いの帰り際、隣を歩く鈴が呟くように言った
「何?」
「なんで、お母さんの前で言うの」
すると
「あぁでも言わなきゃお前止めないじゃん」
「だからって…お母さんの前で…」
「…じゃないとまた、ぶっ倒れるだろうが」
「…。」
「俺と鈴だけなんだから分担してさ」
「………だから」
不意に鈴が足を止めて
何かを呟くから
蓮も思わず足を止め振り返る
やたら頬を撫でる風が冷たいと感じた。
嫌な気分がする。
「鈴?」
「…私は、愛人の子供だから」
そう言って悲しげに遠くを見て笑うから
ザワリと淀めく感覚
あぁ…さっきも、そうだった。
それは、さっき鈴が倒れたと聞いた時だった
知らないクラスメートの男に連れ添われている鈴を見て
鈴が倒れたことの心配よりも
知らないクラスメートの男への敵意しかなかった
腹の底から湧き上がる
この得体の知れない苛立ちは
なんなんだろう。。。
気持ち悪い
気持ちワルい
足だけが鈴元へ歩み寄り
気づけば腕振り上げていた
手のひらのしびれる感覚
それに気づいた時には、遅かった
白い筈の鈴の右頬が酷く赤くなり
彼女は、驚きで信じられないように
・・・俺をただ、見上げていた
それでも収まらない自分は鈴の肩を掴み
息が触れそうなほど近くに引き寄せた
驚きのまま見開いて鈴の目には俺だけが映りこむ。
「………そんな事二度と言うな」
自分でも驚くほど
低く苛立った声が出せるものだと
頭のどこかで冷静に動いている自分もいた
そんなことを考えながら、突き放すように
鈴を離してそのまま置き去りにするように…歩き出す
ごめんね…鈴。ごめん。。。
ずっと、仲のいい兄妹で居られると
思ってたのに……なんでなんだろう?
どこで、違えてしまったんだろう?
きっと、俺は・・・ね?
**
「母さん」
「…あら、今日は一人なの?」
そう言って笑う母さんを前に何も言えず
黙って傍の椅子に腰掛ける
昨日あれから鈴と顔が合わせられなくて
ゆく宛もなくふらふらさては
日付の変わる頃をみて、家に戻った。
案の定、鈴の部屋に明かりはなく台所に
一人分の夕飯が用意されていた
色んな口に出せないような気持ちが
入り混じってその日何ものどを通らなかった
「蓮」
「ん?」
「髪。久しぶりにと梳かしてあげようか?」
何も聞かずに母は
笑って俺をベットに手招いた。
早く。と急かされこの年で母親に
髪をとかされるのは気恥ずかしかったが
……俺は仕方なくそれに従った。
長年の染みた癖なのか?
…或いはこんな時でもないと
叶えてやれない親孝行か?
ただ懐かしい感覚に
妙に切なくなる。
「…母さん」
「ん?」
「……やっぱいい。」
言い掛けた言葉を飲み込み「なんでもない」っと続けた
「…そう。」
「………。」
「蓮」
「なに?」
「……なんでもない。」
「なにそれ?」
思わず笑って、後ろを振り返ろうとしたら
母の言葉にそれは、止められた
「はい、出来た」
そう言ってサイドボードから手鏡を出して見せた。
「あ…これ。」
「いつも鈴ちゃんにやらせてるんだって」
まったく。。。そう言いながらもどこか楽しそうに笑っている
鏡にはいつも鈴が結ってくれる結びの情けない顔の自分が、映っていた
「早く、仲直りしてね?」
そう言って笑った母はそれから
間もなく母は静かに息を引き取った。
あの時もし告げていれば母さんはどんな顔をしただろう?
俺は鈴を愛してるんだよ
とてもとても…怖ろしい位に
そう言った俺を母さんは止めてくれたかな?
【next】
純情おにいちゃん?いえいえ日々成長していく
鈴ちゃんをいつもやましい気持ちで見つめている感じですよ?(笑)
次回は2人の初エロかぁ。。。
期待はしないでください。
基本的にエロはスルースキルが高くて!!!
が、頑張ってあげいてみます!!!