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ゆるさない。
ユルサナイ。
許さない。
赦さない。
呪い殺してやる。。。
【それでも、世界はまわる。】
私は、目の前は血の海を
どれくらい見続けていただろう?
自分が何時間を見続けていると思うだけで
本当は短い、一時のことだったのかもしれない。
誰も来ないかび臭いこの場所で・・・私は、殺された。
手も足もばらばらに切り取られた。
そっち系のコレクターに高値で売りつけると
死に間際に誰かが言っていたのを覚えている
臓器類は一切合財引きずりだされて
唯一無傷で居られた頭と繋がったからっぽの器だけがココに放置された。
そう、私はからっぽの自分を見ていた。
いつまでも見ていた。。。
私が何をしたって言うの?
何もしていない。
誰にも迷惑をかけないように
ひっそり生きていただけじゃない。
親も兄弟も私は知らない。
誰も頼る人間が居なかった
それでも必死に生きてきたのに
私が
何を
したって言うの!!!
「・・・っ。」
誰も居ないはずのそこに不意に
何かの気配が生まれて私は顔を向ける。。。
すると、私の後ろに私と同じくらいの少年が立っていた。
どこか悲しそうに私とからっぽの私を見ていた。
「辛かったね?」
「!!」
少年は不意に話しかけてきた。
その目はしっかりと私を見ている。。。
「視え、るの?」
「死神だから。」
視えるよ。と笑ってみせる。
「し、にがみ?」
オカルトにはあまり興味が無かったから
そんな存在こそ信じては居なかったのに。。。
あまりにもきっぱりと告げるから
私は呆然と彼を見つめていた。
彼はソッと手を伸ばし
「苦しかったね。。。」
頬を撫でる。
触れられないはずのわたしに
その手の感触は確かに伝わってくる
「何も、悪くないのに・・・可哀相に」
誰も言ってはくれなかった
その言葉は私を震わせた。。。
「・・・助けられなくて、ごめん。」
私は悪くないよね?
私が悪いんじゃないよね?
なのに、どうしてこんな
酷いコトされなきゃいけないの
どうして?
どうして?
「ごめんね・・・りん。」
私は、いろんなことに耐え切れず
やっと、声を上げた泣けた。
生まれて初めて産声を上げたときのように
私は彼にすがり泣き続けた
声を上げれば上げるほど彼は「ごめん。」と言い続けた。
「・・・気は、済んだかい?」
大分落ち着いたところで、彼は私をあやしながら問いかける。
生まれて初めて死んでから優しく誰かに接してもらえて嬉しかった
・・・でも、私の中の黒は消えてはくれなかった。
だから私は、まだ上手くしゃべれなくて首を横へ振ってソレに答えた
「そう、ソレはよかった・・・」
「?」
そう言って、彼は私から離れると
ゆっくりとからっぽの私へと歩み寄ると
そっと傍らに寄りそい、何かを確かめていた。
「ほとんど、持ってかれてる。。。」
私は思わず彼の服の裾を掴んだ
あまり、見ないで欲しい。。。
なにもかも持っていかれてしまったそんなモノを・・・
彼がゆるりと顔をあげ私を見る
けれど、彼は笑みをみせて
瞼を開け、口の中を確認すると・・・
「まぁ、眼球と舌はまだ獲られてないのが救いかな?」
「・・・どう、するの?」
「とてもステキな武器になるからね・・・」
「ぶ、き?」
あまりにも場違いに優しく微笑むので
思わず、聞き返した。
「昔かある、とてもステキな武器だよ?」
すると、彼は勢いよく立ち上がると
「ココは憎悪で溢れかえってるから、丁度いい
みんな君に手を貸してくれるよ?」
「・・・みんな?」
「そうか。気づいていないんだね?
・・・本当にドコまでも優しい子だね?」
ケラケラと笑いながら彼は部屋の中のいっそう
黒が濃い方へと足を向けると
その、マントを広げ一礼するように頭を下げてた。
「その怨み、憎しみ晴らしたくばココへ集え
・・・それら俺が全て晴らしてやろう。」
そう、彼が歌うように呟くと
私は思わずザワリと嫌な寒気を感じた。
死んでいるのに・・・感じる。
異常なほどの気持ち悪い空気
それは黒を一層濃し、鬱そうさをより強くさせた。
「ほら、りんの先輩たちだよ?」
「・・・せん、ぱい。って。。。」
「ココではりんの前にすでに何人も同じ目にあってるんだ。」
「・・・ココで。」
思わず、彼らへ目を向ける。
言われればこれは人の気配に似ている
ソレも一人じゃない、何人も何人もココで同じ目にあっている
そうかと思うと・・・私の中の黒いものがまた濃く深くなる
「それでは、皆さんの意見が合意したところで・・・始めましょう?」
にこりと笑う彼の一言で、淀んだ空気は一気に騒ぎ出し
ぐちゃりねちゃりと音を立てながら・・・
何もないはずの黒場所でナニかが確かに蠢いている
思わず一歩後ずさる私の肩を
彼は、何も言わずに触れる。
身をすくめながらその顔を見ると・・・
彼は、どこか晴れやかな顔をしている。
「・・・どう、するの?」
「君の器を元に戻す。」
「え?」
「そのためにみんな手伝ってくれるんだよ?」
「でも・・・何も、ないのに。。。」
「だから。みんなで“手伝う”んだよ?」
その言葉に、空っぽになって横たわる
自分の器へと目を向ける。。。
黒く淀むその塊はずるりずるりと近づき
空っぽの私の器を黒の深い場所へと引きずり込み
赤くまだ乾いていない血だまりが真っ直ぐな線を描きながら。
思わず取り戻そうと体が動くがソレを
・・・彼が止める。
「ココには、憎悪が渦巻いているからね・・・
きっと、綺麗に戻るよ?さぁ、どうする?」
「え?」
不意に、問いかけてくる。
その声は先ほど聞いていたものは違い
どこか、躊躇いを感じるとても弱いもので・・・
「りんの願いが満たされても
りんは天国にはいけないよ?」
「・・・てんごく?」
「永遠に、縛られることになるよ?」
それは、今なら戻れるよ?そんな風に居られている気がした。。。
ぐちゃりぐちゃりと部屋に響く奇怪な
その音を聴きながら私は息を飲み
・・・それでも、乾いた喉で答えた。
「私の、私達の怨みは、絶対・・・消えない。
それは何があっても・・・許せないから」
そう、私が言い切ると
どこか悲しそうな目をしてから
ゆっくり微笑んだ。
「ならば、満たしましょう。。。その願い。」
そう言って重なる唇に不意に意識が遠くなる。
近くにいるはずの彼がぐちゃりと歪み
解らなくなる。
何もかも、解らなくなる。
それでも、1つだけ
・・・解ったものがある
それでも
私の中の黒がじわりと熱く
内側から溶かされてゆく気がした。。。
「絶対に、後悔させてやる。」
そう、あの時に呟いたのは
・・・私だったのか?彼、だったのか?
そして、私がうまれる。
「おはよう。そして、おたんじょうびおめでとう・・・リン」
そう言って差し出される手を
私は自分の手でとり、自分の足で立ち上がった。
何の違和感もなく
何の歪みもなく
全てがもとに、戻った。
彼は、変わらず黒い服。
何の・・・私は白い服。
「なに?お気に、召さない?」
「え?・・・そうじゃ、無いけど。。。」
てっきり同じ黒い服だと思っていから・・・
これはまるで、死に装束のような気分だわ。
ああ、違う。
そうじゃない。
これは・・・もっと、神聖な親密なもの。
「それでは、満たしに逝きましょう?」
あなたの、花嫁。
世界はまわる。
誰が死のうが生きようが
そんなコトお構いなしで
それでも、世界はまわりつづける。
それこそ・・・永遠に、ね?
だけど、憶えておいて
死者の怨みもまた、永遠だよ?
忘れないで
わすれないで
「・・・呪い殺してやる。」
【end】
・・・もう、何がなんだか??