【ちいさいもの。】

監禁モノです。か？

お嫌いな方は・・・逃げて！

***




俺の、目の前に少女が居る。



【ちいさいもの。】



部屋の隅でカタカタ震えて泣いている。


名前も知らない。
素性も知らない。
面識もない

まったくの血のつながりのない赤の他人。

そんな少女が部屋に居る。
何も不思議な話ではない
自分で連れて来たのだから・・・居て当たり前の話。
世間でよく言う『拉致監禁』になるのだろう。。。


おめでとう。晴れて犯罪者の仲間入りだ。


そんな世間体どうだっていい。
誰もが一度は駆り立てられたことはあるだろう。
その欲求を正当化する義理はないが・・・
俺はソレが純粋に欲しかった。だけなのだ










なのに、泣き続ける。
声を押し殺して泣き続ける。
宥めようと手を出しても振り払われる
言葉をかけても聴く耳を持たない・・・


あぁ、その声が聞こえる度に苛立ちは募ってゆく。。。


いい加減この状況の平行線具合に
耐え切れなくなった所で煙草を灰皿に押し当て
その役目を手早く終わらせると少女の下へ歩み寄る。

びくりと体を震わせて
恐る恐ると人の顔を見上げる
何か言おうと口を開くのだが
呂律が回っておらず何を言おうとしているか解らない？
・・・解った所でどうするわけでもないのだが。。。

青ざめて蒼白になっている彼女の顔を片手で掴むと
思いっきり上に上げる。

・・・ちょっと、微妙。

軽く指を広げてみるけど

・・・あんまりよくない。

違う、コレじゃない。
こういうんじゃなくて・・・

流石に無理やりやるのには足りないのか？
そう、考えて・・・


「笑え。」


一言告げた。
少女は「？」を浮かべて俺を見る。

だから「笑え。」ともう一度告げた。
暫し何事だろう？不思議そうに数回瞬きをしながら
俺の様子を窺ってみせる。。。
が、笑わない。。。
仕方なくもう一度無理やり、指を上げると
いやいや。と首を振り初めての抵抗を見せた

「笑え。」

もう一度言うと・・・微かにだけど頬が動く。
どうにか、笑おうと顔を引きつらせているが・・・
強張って居るため、なんとも言いづらい顔になる。

はぁ。。。っと俺がため息を吐くと・・・
急に、くしゅんとちいさくなる。。。


途端「きゅるるる。」と怪奇音が響く？
あたりを見回すが音のなるよなものはない・・・
少女の持ち物だろうか？と目を向けると、お腹を押さえている。
『痛いのだろうか？』とも考えたが・・・蒼白だった顔が
熟したトマトのような色をしているので


「・・・お腹すいたのか？」


問いかける。
すると、躊躇いがちにだが・・・コクリと頷いた。
ソレで、漸く捕獲してから
大分時間が経っていることに気がつき
暫く考えたから、立ち上がり冷蔵庫からいくつか
食べそうなものを漁り少女の下へ戻る
床に並べて「食べろ。」と言うと・・・困った顔をしながら首を傾げた

当たり前と言えば当たり前だ。
いきなり監禁されている状態で
「食べろ。」は不可思議かもしれない。
でも、説明するのも面倒なので1つ手に取り
自分で食べ始める・・・すると。
ソレを真似るよう1つ手に取り封を開けると、一緒になって食べ始めた。
どこかの小動物のように必死に詰め込み食べ始める姿を見て


「・・・甘いのなの？」
思わず問いかけた。

「・・・好き、デス。」
そう答えた。


「そうか。」と答えながら完食した
惣菜パンの包むをくしゃくしゃにしながら
甘いのを切らさないようにしないと・・・と思った。


それから、少女の頭を撫でた


ビクッと一瞬怯えてこちらをみたが
その手を振り払われることはなかった。


















・・・どういう訳か、こんな小さな生き物が不自然に好きでたまらない。

【next】
・・・まだ続く？
ちょっとだけ続く？