【紙ひこうきが飛んだ、そら。３】

あの子が、遠くに行くワケ。

***


忘れたくない。
忘れたなくない。

忘れないで。。。






【紙ひこうきが飛んだ、そら。３】






「・・・え？」

戻ってきて、この人のいう話が解らなかった。
この人は何の話をしているのだろう？


・・・解らない。
　　　施設を変える？

・・・どうして。
　　　症状が安定したから？





・・・なぜ？
「そこなら、ご両親も会いにこれるから・・・ね？」




いや。
いやよ。

はなれたくない。
そんなのいやなの！！！



「・・・わ、たし・・ここにいたい。」



おねがい、ここにいさせた。
いいこにしているから。



「・・・ごめんね？それは、できないんだ。
　リンちゃんならすぐに向こうでもお友達が、できるから」



そう言って泣き出す私をこの人は宥めてくれる

でも、違うの。
そうじゃない・・・友達なんていらない


一緒に居たいの。。。
一緒に居られるだけでいいの


あの人と


同じ時間。一緒にいられれば
・・・それでいいの


どうせ、私は・・・忘れてまうから。。。






「ぁ・・・こうきぃ」
「え？」

上手く言葉にならなくて
それでも、私は・・・声を上げる。





叶わないことは、知っているの。






「紙・・ひこう、きぃ・・・あげるのぉ」







それが私の大切な、記憶。
あなたと一緒に居られる時間の記憶。


それが・・・今の私の唯一だったの。


お願い。
奪わないで

お願い。
取り上げないで















・・・“今の私”を殺さないで！！！

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